ぼくを釣りに連れてって

第22話 正真正銘 最終戦 2007.1.27

ネット情報では、まだ西宮ケーソンではタチウオが釣れているらしい。むしろ、ひところより活発にあたりがあるとのこと。
本格的にタチウオを狙いだしてから、ボウズ、2匹、ボウズ、1匹、ボウズと来ている。ボウズと釣れる時が、見事に交互である。この法則からすると、今度は釣れる番である。
この話を職場のガシラ名人F氏にしたところ、

「そりゃーBela君、0、2、0、1、0と来たら、次は0やで」と不吉なことを言う(涙)

「しかし、熱心やなあ。僕も気が向いたら冷やかしにいくわ」
とのことだったので、西宮ケーソンと駐車場の場所を教えて差し上げた。


さて、土曜日。出発は昼の3時。4時には到着するはずだったのだが、えらい渋滞で到着は4時半となった。
第1〜第2コーナーまでは満員である。エビまき、ルアー、タチウオ引き釣り、サヨリ、サビキ、と、皆さん色々な釣りをしている。が、あんまり釣れている気配はなさそうだった。
第二コーナーを曲がったところで、甲子園浜向きでイワシを上げている老人がいた。カタクチイワシである。これはタチウオも期待が出来るかもしれない。

さて、第二コーナーと灯台の中間ぐらいで釣り座を構えた。ここまで来ると、さすがに人は少ない。寒さは比較的ましだが、西風が強い。まともな向かい風である。
ルアーをしようかとも思ったが、5時前だったので、竿2本でウキ釣りをした。
今回は、人間様用のキビナゴを用意した。ようやくスーパーで売っているのを見かけたものだ。釣具屋の冷凍キビナゴより銀色ピカピカ、食いはいいはずだ。

5時半ごろ、自転車で回っている老人が、「向こうでイワシをエサにしている人が一匹上げたで」と情報をくれたので、俄然やる気を出し、もう一本竿を出して、竿3本態勢で頑張った。が、当たりなし。F氏からも連絡なし。

日も暮れた7時頃、F氏から電話。近くまで来ているが、エサ屋がわからないとのことで、エサ屋の場所を教えてあげた。もう来ないだろうと思っていたのだが、やっぱりF氏は来るようだ。

さて、風が強い中、一人で竿3本は私には無理だったようで、自分でオマツリしてしまった。悪いことに、お祭りに気がつかず、投げたところ、横の竿が引っ張られて倒れてしまった。悲しいことに、糸が切れて、電気ウキが飛んでいってしまった。あちゃー!と思っていたが、向かい風が幸いし、岸壁近くまで流れてきた。別の竿で電気ウキを釣り上げ、無事回収できた。よかった!

さて、7時半頃だろうか。ウキがスッと沈んだが、沈むでもなく浮かぶでもなく、電気ウキの赤い光が水面下でぼんやりしている。待望の当たりだが、この前と全く同じ状況だ。
このような場合、5分ぐらいは待たなければならない、と聞いていたので、そのままタバコをゆっくり吸っていると、ウキが浮いてきた。回収してみたが、エサはそのままである。一体なんだったんだろう。こういうことが2回ほど続いた後、F氏が登場。


「遅かったやないですか」
「いや、エサ屋がわからなくて、結局スーパーでイカナゴ買ってきた」
「いや、イカナゴやなくてキビナゴです(笑)  イカナゴは小さすぎて針につけても直ぐ外れるんちゃいますかねえ」
「あら、そうかいな」
「まあ、キビナゴは一杯ありますから大丈夫です」
「で、どうや。当たりはあるんかいな」
「さっき、2回ほど当たりはあったんですが、逃げられました」
「しかし、ここが西宮ケーソンか。立派な防波堤や。こら、ええ釣り場や」
「向こう(第1〜第2コーナー)は混んでました?」
「ガラガラやったで」
「そうですか。私が来た4時半頃は、満員でしたけどね」
「皆帰っちゃったんかな」
「ということは、やっぱり釣れてないんでしょうね」
「そうかあ、まあ、頑張ろうや」
「とりあえず、写真撮りましょう」
「お、それが、新しく買ったデジカメか」
「タチウオ釣れたら、ばっちり写真が取れますよ」


そうなのである。実はデジカメを買い換えたのだ。これまでのデジカメは、古い上に結構大きいので、釣り場には持ってきていなかったのである。ただでさえ荷物がおおいのに、カメラまで持参する根性がなかったのだ。しかし今度買ったデジカメは、非常にコンパクトで、ポケットに簡単に入るため気軽に釣り場に持ってこれる。

ということで、二人で並んで釣りを開始。だが、当たりなし。

F氏が釣りを初めて30分ほどした時、F氏のウキに変化が!
「お!これ、ウキ沈んでるよなあ」

ウキは、水面下に沈んでいるが、同じように水面から電気ウキの光が見えたまま、それ以上浮きも沈みもしない。
「ここであせったら駄目ですよ。この前、ここであせって逃げられました。5分でも10分でも待たな駄目です」
だが、3分程で、ウキは浮いてしまった。

「ウキが浮いても、また食いつく事があるんで、ちょっと待ちましょう」

だが、再びウキが沈むことはなかった。回収してみると、エサはそのまま。

「うーん、エサはついてるなあ。さっきのは、まぼろしの当たりやったんかなあ」
「いや、明らかに沈んでましたよ。この前からこんな状況ですわ」


とにかく当たりがあったため、二人で気合を入れなおして頑張ったのだが、その後当たりなし。
ちょっと偵察ということで、2コーナーのテトラ近くの人に聞いてみた。30歳ぐらいの若い人だ。


「どうです?」
「いや、さっき来たところなんで、何とも。どうですか」
「さっきは当たりあったんですけど、食わないですわ。今は当たりもないです」
「そうですか。尼エサのページ見て、まだタチウオ釣れていると書いてあったんで来て見たんですけどねえ」
「私もそうです(笑)」
「1月4日には、二人で40匹ほど釣ったんですけどねえ」
「ええ!!!すごいですねえ。入れ食いですか?」
「いや、入れ食いというわけでは。夕方から徹夜で釣ったんですよ。周りの人はそれほどは釣れてなかったけど、サビキで釣ったイワシをエサにしたら僕らだけ沢山釣れました」

1月4日から5日というと・・・私が2匹釣ったのは5日の早朝だった。すごい人がいたもんだ。それにしても、キビナゴよりも現地調達のイワシの方が当たりが多いと聞くが、どうやら本当かもしれない。これまで半信半疑だったのだが。真っ暗な海の中で、カタクチイワシとキビナゴを見分けるとは、そんなにタチウオって眼がいいんだろうか・・・

「徹夜ですか。それにしても二人で40匹はすごい」
「もう終わりなんですかねえ、大体、今頃まで釣れる方がおかしいんですよ」
「普通は年内一杯ぐらいですかね」
「せいぜい、1月の10日頃までですね。もう2月ですもんねえ」

黙々と釣っているF氏にこのことを報告し、またまた二人で釣り再開。
だが、待てど暮らせど当たりなし。

「さすがに寒いなあ」
「どうします?さすがに挫けそうですわ」
「そうやなあ、そろそろ終わりにしようか」
「せっかく来ていただいたのに、残念ですね」
020100の法則が当たってしもうたなあ。僕がいらん事をいったせいや(笑)」

ということで、10時頃ギブアップ。
帰る道すがら、西宮ケーソンの案内をして回った。


「東側が、南甲子園浜。西宮ケーソンと同じぐらい釣れるらしいんですが、駐車場からかなり遠いので、空いてるみたいです」
「西側が南芦屋浜。非常に綺麗に整備されていて、柵やトイレ、自動販売機もあるんで、子供連れや女性も沢山いて、めちゃめちゃ混んでます」

「ここが第2コーナーです。ここにはテトラが入ってます。」
「この辺が第1コーナーと第2ーナーの間です。車から少しは近いので、一番人が多いです。私は、大体この辺で釣ることが多いですね」
「この辺は、沈みテトラが入っているんで、人は少ないです。但し、根掛かり多いですね」
「ここが第1コーナー。テトラになってます。ヨットハーバーの出入り口になっているんで、ヨットハーバーの中のチヌとかスズキがエサを食いに出てくるんで、好ポイントだそうです」
「この台船の周りは、台船の明かりのおかげで、アジが釣れます。船員さんも時々船から釣りしてますよ」

「タチウオは、どこが一番のポイントなんや?」
「まだ3匹しか釣ってないんで、よくわからないんですが、基本的には西宮ケーソンはどこでも釣れるらしいです。でも、灯台付近と、第2コーナーあたりがいいらしいですね」
「コーナーがええのん?」
「タチウオに追い詰められた小魚が集まるから、それを追ってくるらしいですね」
「でも、テトラやし、やりにくいなあ」
「テトラから釣ってる人もいますが、夜は危ないですね。だから、テトラの周りから釣るんです。でも、人気が高いんで、大抵誰かいますね」
「ガシラは釣れるんか?」
「あまり聞かないですね。一回テトラの所でやってみたんですが、駄目でしたね。」
「おりそうやけどなあ」
「釣り人が多すぎて、全部釣られてしまうんかもしれません。まあ、大阪湾のガシラはあまり食べたくないですね」
「そらそうやな。ガシラは、やっぱり日本海か和歌山や。今度、和歌山にガシラ釣りに行こか」

などと話しながら、ボウズのおっさん二人組みは、むなしく帰路についたのであった。

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