ぼくを釣りに連れてって

第15話 今シーズン最終戦 2006.12.16

いよいよ冬本番。水温が下がると、多くの魚は深場に行ってしまい、防波堤からは釣れなくなると言う。確かに、先週あたりから、海水をくみ上げて手を洗うと、相当水温が下がっていることを、文字通り肌で感じる。

というわけで、今シーズンの最後を飾るべく、西宮ケーソンにて徹底的に魚を釣ってやろう!


まず、昼間の部である。1号は塾の試験とかで、2号と二人で西宮ケーソンに7時半ごろ到着。やっぱり、テレビ放送の影響か、とても混んでいる。
今回は、時間を惜しんで、半生のアミエビを用意した。いきなり、投げサビキを開始。当たりなし。
2号も同じく投げサビキをしたが、暫くあたりがないので、足元でイワシを狙いだした。魚はいるようだが、食いは良くない。30分で4-5匹のウルメイワシが釣れただけ。
と、私の投げサビキに、アジが掛かった。あまり順調ではないものの、退屈しない程度にはアジがかかる。2号も投げサビキを再開した。私が5匹、2号が1匹アジを釣ったところで、完全にあたりは止まってしまった。10時ごろである。


その後は、イワシすらどこかに行ってしまった。撒餌をしても、魚の影も形もない。
隣で3人組がサヨリつりをしている。全く釣れている様子はないが、イワシもアジも駄目なので、サヨリ狙いに切り替え。11時まで頑張ったが、回りも含め誰も釣れていない。3人組は、グレ用の配合エサらしき撒餌をバンバン撒いている。そのおかげか、サヨリが掛かった。こちらも頑張ったが、我々には全く掛からない。おまけに、昼前から西風が強くなり、仕掛けが絡まりだした。
コンビニまで行って弁当を買い、防波堤で食べた後、第二コーナーの先に引越しをした。ここから甲子園浜に向かえば、丁度追い風となって仕掛けが絡まない。先週、ここで周りの人がサヨリ爆釣だった。柳の下のドジョウならぬサヨリである。

だが、釣れない。周りの人も釣れない。偵察すると、第二コーナーのもう少し先で、芦屋浜向きでサヨリが結構釣れている。まともな向かい風だが、芦屋浜向きで釣ることにした。
周りの人は、快調にサヨリを上げているが、こちらは全然掛からない。やはり、マル秘餌は駄目なようだ。

さて、2号が仕掛けが絡んで解けないので、置き竿にしたまま仕掛けを解いてやった。すぐ解けると思ったのだが、意外に手間取ってしまった。
サヨリ仕掛けはというと、かなり左の方に流されてしまっていた。ありゃー、こりゃ隣の人に迷惑だ・・・と慌てて引き上げてみると、なんとサヨリが掛かっていた(笑)
一生懸命狙っている時はつれないのに、ほったらかしで釣れるなんて。

とにかく頑張って、合計3匹のサヨリをゲット。同時にやった投げサビキで、アジが掛かったので、再びアジが回ってきたのか、と頑張ったが、後が続かない。

結局、昼間の部の釣果は、アジ 7匹、ウルメイワシ 10匹、カタクチイワシ 10匹前後、サヨリ 3匹であった。


さて、夜の部である。一旦家に帰り、夕食を食べた後、今度は1号と二人で出かけた。もちろん、タチウオ狙いである。
途中、エサのキビナゴとケミホタルを買い、ケーソン到着は8時過ぎ。タチウオの一番の時合いは、日没から8時ごろまでとのことで、少し遅い時間であるが、代わりに人出は少ないだろう、というのは大間違いで、第一〜第二コーナーまで人が一杯である。それでも2人の場所を確保できた。早速仕掛けを準備しようとしたが・・・

左の人が、竿を置きっぱなしにしてどこかに行っているようだ。無人の竿からのウキが、我々の目の前はおろか、更にその右側の人の所まで流れていっている。困ったものだ。
持ち主は、コンビニにでも行っているのだろうか。場所を離れる時は、仕掛けを上げていってもらいたいものである。

10分以上待ったのだが、帰って来ない。仕方なく
「えーい、無視して始めよう」
「えー、でも、絡まってしまうで」
「そんなもんかまへん。絡まったら引き上げて、その辺に放っといたらええ」


で、早速投げ込む。もちろん、一発でオマツリだ。
仕掛けを切ってやろうか、とも考えたが、さすがにそこまでは出来ず、邪魔にならないように岸壁ギリギリに放り込んでやった。

更に10分ほどして、左の人が帰って来た。若い人の2人連れである。一言の謝りもなく、黙って仕掛けを引き上げ、また釣り出した。

さて、タチウオ釣りであるが、周りも誰も上がっている気配はない。思い出したように、単発で掛かるが、後が続かない。10時半ごろには、左の若者連れが帰ってしまった。が、帰る人があれば、来る人もいる。直ぐに、左側におじいさんがやってきてつりを始めた。この寒空の深夜に、元気なご老人だ。右側の少し先で釣っておられた方だが、我々の左側の場所が開いたので、移ってきたのである。

しかし釣れない。1号は、一度かすかな当たりがありキビナゴが齧られたようだが、私には当たりすらなかった。何度か棚を調節して色々な深さを探ったのだが・・・

さすがに寒さが身に染みる。冷凍キビナゴ徳用も、段々少なくなってきた。

「もうすぐエサがなくなりそうや」
「エサがなくなるか、日付が変わったら帰るで」
「よーし、エサがなくなるまでに、お父さんより先にタチウオ釣ってやる!」

と頑張っている時、左の老人がタチウオを釣り上げた。くやしー!
と、老人は、我々のところに、ポンとタチウオを置いた。
「これ、持って帰り!」
「えー、いいんですか」

と頂いてしまった。指 3本と、小ぶりであるが、実に親切な方である。
よく見ると、大変立派な 5m以上ありそうな竿を持っておられる。投げ方も実に本格的で、私の倍近い遠投をされている。相当ベテランの釣り師のようだ。
さて、タチウオを絞めなければならない。ネットで見ると、首をへし折って絞めるのがいいようだ。1号に聞くと、即座に「やる!」ということなので、任せた。
軍手をはめ、タチウオの首を恐々折ったのだが、中々簡単にはいかない。一応、「ボキって言った」とのことで、バケツに入れてみると、大暴れ。全然死んでないやん!
再度首を折ると、おとなしくはなったが、まだ生きている。
「まあええわ。クーラーの中に入れとけ。死ぬやろう」

というわけで、気を取り直して釣りを続行。相変わらず当たりなし。
さて、Y子さんから電話である。

「釣れてる?」
「いや、全然釣れてないけど、親切な人にタチウオもらった」
「何時ごろ帰るの」
「もう直ぐ12時やから、それまで頑張って、それからラーメン食って帰るわ。先に寝といて」

と、悪あがきをしつつ、時刻は12時半。とうとうキビナゴがなくなり、釣り終了。
ご老人に、丁重にお礼を言った。

「タチウオ有難うございました。そろそろ帰ります」
「もう帰りますか。もう一匹持って帰り」
「ええ、いいんですか」
「ええねん、ええねん」
「今日はタチウオ初挑戦やったんですが、見事に惨敗しました」
「僕は初めてやけど、お父さんは2回目です!」
「そうかいな。そら残念やなあ。今度頑張りや」


何と、更に一匹くれた。もしかしたら、常連さんで、タチウオは食べ飽きているのかもしれない。重ねてお礼を言って、西宮を後にした。帰る人もいれば、これからやってくる人もいる。釣り場は一向に人は減らない。今頃来る人は、多分一晩中釣りをするんだろう。この寒空の中、大したもんである。

帰りに、ラーメン屋に寄ろうとしたのだが、深夜であり、中々開いている店がない。たまに合っても駐車場がない。ようやく伊丹のドンキホーテの向かい側にラーメン屋を見つけ、二人で暖かいラーメンを食べた。時刻は1時過ぎ。ラーメンは美味かった!
もらったタチウオであるが、Y子さんが手を怪我してしまったので、インターネットで捌き方を調べて恐る恐る私が捌き、サヨリと一緒にしゃぶしゃぶにして食べた。これまた美味!であった。

こうして、2006年は釣り三昧のうちに暮れて行ったのであった。めでたしめでたし。

メインページに戻る

 

inserted by FC2 system