コーヒー・ブレイクダウン

第1話 プールサイドの惨劇

それは、桜は満開であったが、少し肌寒い日におこった。

息子1号は、スイミングスクールの春休み短期コースに通っていた。土曜日だったので、家族みんなで出かけて、2階の部屋からガラス越しに息子1号の水泳教室の見学していた。

1号を含む、約10人の生徒が、先生の合図で準備体操を始めた。1号は水泳が大好きである。生後三ヶ月から毎日お風呂で洗面器でお湯を頭からぶっ掛けるという修行を続けた成果で、水はへっちゃらである。また大学生のアルバイトの先生が大好きらしく、時々ラブレターを書いている。字が書けないので、トトロやドラえもんの落書きである。もちろん桜の花や拾った貝を入れるセンスはない。但し、この先生は男である。

おかげで、水泳教室は楽しくてしかたがない。はしゃいでいる。でも、去年よりは進歩したもんだ。去年は先生を無視して、あっちにフラフラ、こっちでチョロチョロ、勝手に飛びこんだり、別の所に行ったりしていたものである。見ている親として恥ずかしく、思わず他人のふりしていた。

準備体操が終わり、プールにつかる。プールサイドにつかまって、バタ足の練習をする。不恰好だが、まあ良く出来てる方だろう。次は頭の天辺までつかる練習である。何度も潜っては顔をだす。はしゃいで飛びはねている。

その時である。プールから上がろうとして、ツルっと手がすべり、プールサイドに顔面から激突!!すぐに顔を上げた。キョロキョロ辺りを見まわしている。多分大丈夫だろう。そして下を見たとたん、真っ赤ながボタボタ・・・・・

すぐに隣の女の子が先生を呼んだらしい。先生が口を開けさせている。口の中でも切ったんだろうか。別の先生が来て、何処かへ連れて行ってしまった。暫くして先生が子供を連れて私の所へきて、

「前歯がグラグラしてます。口の中も切れているようです」

口から血を流している割には、息子は痛くなさそうである。時間は11時20分、大急ぎで歯医者に連れて行った。その結果、前歯2本とも抜かれてしまった。その間、私は2号と留守番で、Y子さんが付き添ったのだが、麻酔を3本打たれて、歯を抜かれても全然泣かなかったそうである。前歯がなくなったので、非常に間抜けな顔になってしまった。乳歯なのでそのうち生えてくるが、当面このままである。

可愛そうなので、その後近所の公園で花見をする事にした。急だったので、ホカホカ弁当を買って桜の下で食べ始めた。硬いものは食べられないだろうと思って、ヤキソバにしたのだが、ガツガツ食っている。1時間程前に歯を抜いたのが信じられない。桜の下で大口を開けて笑っている。とっても間抜けな顔である。

その後、会う人毎に、

ぼく、はーぬいてんでー

と、大口を開けて見せびらかしている。困ったやっちゃ。

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